ユーグレナは、細胞内に糖貯蔵物質としてパラミロンを含有しており,そのパラミロンはβ-1,3-グルカンの構造を有しています。β-グルカンは、真菌・細菌・植物など自然界に広く分布している多糖類であり、ヒトを含む動物の生体内でさまざまな生理活性をもたらすことが知られており、特に免疫調節に関する作用が多数報告されています。
β-グルカンによる免疫亢進に関連する作用は,液性免疫を介して惹起され,病原体に対する抵抗力が増強されると考えられています。β-グルカンを経口で摂取した際には,胃腸管の粘膜免疫系に影響を及ぼすとされています。
一般的に、小腸のパイエル板のM細胞によって、微生物等の異物が取り込まれ、その際にマクロファージや樹状細胞などの免疫細胞に抗原を提示するとされています。そこに存在するいくつかの受容体は,微生物の細胞壁に存在するβ-グルカンを標的とすることが知られています。β-グルカンにより腸粘膜免疫系への刺激効果が得られるのは,この受容体による認識機構によるものと考えられています。β-グルカンがどのように上皮細胞の内層に浸透するかは明らかにされていませんが、M細胞のようないくつかの上皮細胞により、β-グルカンが積極的に取り込まれていると想定されます.中でも、マクロファージおよび樹状細胞の表面に発現するDectin-1は,β-グルカンの受容体と知られるものの一つであり,その後免疫刺激効果に重要な役割を持つとされています。Dectin-1によって認識されたβ-グルカンは、チロシンキナーゼSykを活性化する、NF-κBの活性化を通じた炎症促進性サイトカインの分泌促進を行うなど、複数の免疫反応の原因となることが知られています。
パラミロンには,他のβ-グルカンの同様の効果がみられます。これは,パラミロンが上皮細胞を通過して輸送されることによっても機能し、Dectin-1受容体を介してマクロファージによって認識され、Th1細胞応答を誘導することが考えられます。パラミロンのサイズは、典型的には1~3 μm程度であり、これは病原性細菌のサイズに類似していて、ラミロンが腸管上で病原性細菌に対する反応と同じ機構を用いて上皮細胞を介して輸送される可能性を示唆しています。パラミロンの結晶構造は,β-グルカンの受容体の一つであるDectin-1によって認識される三重らせんからなっており、パラミロンがDectin-1を強く活性化することが示唆されています。